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意識BriefPreview — 仮公開データ

扉をくぐると、忘れる

部屋から別の部屋へ移動した瞬間、「何を取りに来たんだっけ」と頭が真っ白になる。ドアウェイ効果として知られるこの現象は、記憶があなたの感覚よりずっと繊細な「場」に縛られていることを示している。

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キッチンに行った目的が、キッチンに着いた瞬間に消える。誰にでもあるこの経験は、物忘れではなく「ドアウェイ効果」として研究されてきた記憶現象だ。

記憶は「部屋」で区切られる

実験では、同じ部屋の中で物を移動させる条件と、扉をくぐって別の部屋へ移動する条件を比較すると、扉を通った後に直前の内容を思い出せなくなる傾向が確認されている。脳は出来事を「場所と場面」の単位で分割して管理しており、環境の変化は記憶の区切り——ファイルの仕切り——として働くらしい。

つまり「何を取りに来たか」は消えたのではなく、前の部屋というフォルダにしまったまま、あなたの意識だけが新しいフォルダを開けてしまっている状態なのだ。

対処は、意外に地味

有効とされるのは、移動前に目的を声に出す、視線を固定したまま移動するなど、「区切り」に入る前に内容を手放さない工夫だ。記憶が場に縛られているなら、場を超える前に反復するのが理にかなう。

扉をくぐるたびに頭が白紙になるのは、あなたの脳が壊れているのではなく、世界を上手に整理しすぎている証拠かもしれない。

もし記憶が「場所」ごとに仕切られているなら。

あなたが忘れているのは物ではなく、別の部屋に置いてきた自分自身なのかもしれない。

Sources / References

  1. Gabriel Radvansky — ドアウェイ効果に関する実験研究(2011)
  2. 日常記憶研究における event boundary の議論